Dec. 1, Mon.

IT

(Operaの)冨田氏は「Webブラウザには“ファイル”と書かれたメニューがあるなど、まだまだ“ドキュメントを見る”というパラダイムから抜け出せていない。

確かに。メディアインターフェースであるブラウザーはもっと新しいインターフェースを模索してもいいのかもしれません。そういう意味ではgoogle Chromeは一つの画期的な提案をしていると言えます。

社会

数ある批判の中で最も傾聴に値するのは「自分の情報を第三者のコントロール下に置くことになり、そんな無防備な状態にすべきではない」という批判ではないだろうか。

岸氏はクラウド・コンピューティングの問題点をまとめていますが、ちょっと変です。彼が上げる問題点は以下のとおり。
・ユーザーから見えない技術であること
・情報セキュリティが人任せであること
・サービスの提供者がアメリカ企業であること
別にクラウド・コンピューティング固有の問題とは思えません。

極端なケースを考えてみよう。もちろん、クラウド・コンピューティングをビジネスとしている企業はセキュリティーの堅牢さを主張している。しかし、日本企業が情報を預けた先の企業が水面下でデータ・マイニングして、そこから知り得るビジネスノウハウなどの情報を他企業にこっそりと伝えることは絶対にないと、第三者が保証できるだろうか。

極端です。gmailを個人で利用するぶんには無償ですが、企業がgoogle Appsなどのサービスを利用するのは有償です。データの所在だけを考えるならデータセンター事業と変わりません。別の見方をすれば、googleも有償サービスを提供する以上、契約に沿ったサービスを実施する義務を負っています。外部に漏れればgoogleといえども顧客は獲得できません。

情報はカネに直結するのであり、そもそも企業はたくさんの機密情報を扱っている。

簡単に言っていますが、情報はそこにあるだけではお金にはなりません。有用な情報かどうかはコストをかけて人間が解析して判断する必要があります。情報からカネを生み出すのはそんな簡単ではありません。

もしオバマ政権の米国がプラットフォーム・レイヤーを中心にネット帝国主義を目指すのならば、クラウド・コンピューティングがその重要な道具となってもおかしくない。

...(^ ^;)「ネット帝国主義」って?全世界はアメリカの支配下に置かれるということでしょうか?
イノベーションアメリカから発生しているのは世界制覇したいからではなく、ベンチャー企業が新しいサービスを始めることができる土壌があるからでしょう。

情報は企業の競争力を規定するし、更には国益にも直結する。慎重すぎるに越したことはないのである。

google Appsが便利なのは、サーバー管理コスト不要で、いろいろなサービスがどこでも受けられるからです。「情報の所在が分からないから不安」という理由だけで莫大な情報システム管理コストを負担していればただのアナクロニズムです。
彼の論理は別に新しいものでもないし、根拠もしっかりしていません。たぶん「情報がどこにあるか分からないから不安」という心理が根底にあるのではないでしょうか。この種の「イノベーションアレルギー」のようなものはいつの時代にもあります。不安なら利用しなければいいだけなのですが、その彼が総務省「xICT成長力懇談会」や「ICTビジョン懇談会」で政策草案を話し合っているのですから、「不安」を感じてしまいます。