NHK沸騰都市みました

今日の沸騰都市はブラジル経済の中心都市・サンパウロでした。面白かったので少し書き留めておきます。
BRICsと呼ばれる地域がもてはやされた時期がありました。なぜブラジルが急速な経済発展をしてのか。じつはよく知りませんでした。中国やインドは同じアジアなので安くて大量の労働力を提供していることを知っています。ロシアが資源で発展したことも知っています。エネルギー需要がしぼみつつある現在は隣国とゴタゴタして不穏ですが。
高校のときに使っていた地図を広げてWikipediaのデータと比べると確かにブラジルは発展しています。人口は1億5千万人(1994)から1億8千万人に増加しています。中国にも引けをとらない伸びっぷりです。さらにビックリしたことに国民1人あたりのGDPは3640ドル(1995)から7320ドルに伸びています。もはや途上国とは言えない水準です。サッカーとサンバ(あとF1)のイメージしかない国ブラジルはなぜ発展したのかが今日の主題でした。
端的に言ってしまうと、ブラジルが発展した理由はロシアと同様エネルギーの高騰が要因です。しかし、石油資源を持たないブラジルが潤ったのはバイオエタノールのおかげでした。ロシアとはちょっと違う方向に向かうブラジルの姿が見えます。
農業国であるブラジルは石油危機をきっかけに1975年から国策でサトウキビの栽培を進めてきました。いち早く「代替燃料」の可能性に賭けたことで精製プラントまで持つ輸出国になったのです。21世紀になってからグローバリゼーションによる根本的なエネルギー不足が叫ばれるようになってバイオエタノールの需要は伸張します。バイオエタノールを輸出することで外貨を獲得し、所得中間層が出現し、消費を支えています。広大な国土のため自動車が普及し、確実に豊かになっているのが印象的でした。先の好況でも自動車メーカーは矢継ぎ早にバイオエタノール対応の小型車を南米に投入していました。それは新しい中間層が購入するエントリーカーだったのです。
エネルギー輸入国であるアフリカ諸国もサトウキビの栽培ノウハウを導入しようと策動しています。エタノール生産国が増えれば、アメリカ・中東の地政学的優位さえ崩れかねません。さらにバイオエタノールは枯渇しないため、金融危機によって行き先を失ったマネーがブラジルに向かっています。
地球の裏側の事情がよく分からない私でも、この国の求心力はまだまだ衰えないということは理解できました。
ちなみにブラジルは参政権の行使である投票が義務づけられているそうです。日本も見習うべきでは。