ガラパゴスたる所以

書くの久しぶりですね。個人的なことですが言い訳をすると、先週末に知り合いの舞台に裏方として参加しまして、おかげで先週は仕事&稽古でカンヅメでした。今日もまだ疲れがとれていませんが書きます!しかし私の最新情報は先週から止まったままですが。。

以前、携帯電話の開発に携わっていたこともあってこっちにもアンテナを立てるようにしています。ケータイが儲からないのはもう常識になりつつありますが、それでも事業者は突っ張るしかないようなのです。
先々週くらいに、来月ソフトバンクiPhoneを発売するニュースが駆け巡りましたが、ドコモもしまっておいたエースを切る様子。
[ITMedia]ドコモ、BlackBerryを個人向けに8月発売へ
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0806/19/news017.html
イーモバイルのHTCタッチパネル端末や、ウィルコムの新しいW-ZERO3Vista端末が出揃うことで2Q以降は久々に盛り上がりそうですね。
日本では長くUIの仕様をキャリアーで統一してきました。結果、ユーザーは機種変のときに覚えなくて済む半面、コモディティ化が進んでしまい、求心力のある端末がなくなりました。iPhoneユーザーインターフェースインパクトの大きさが見えてきたことになります。
同時に今年は法人向けが盛り上がりそうです。まぁ1年前から言われてることですが。
[NBonline]携帯、今期の戦場は中小法人
http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080606/160800/
[ITMedia]企業ユースでの使い勝手を強化した「Windows Mobile 6.1日本語版」
http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0806/19/news020.html
これは以後半年でどのように推移するか注目です。

さて話は変わりますが、日本の携帯電話業界が「ガラパゴス」だと言われる最大の所以はサービス主体になるのがメーカーではなくキャリアーだということです。
海外ではTelefonicaやvodafone、Orangeのような巨大キャリアーでも従来ではサービスを提供するという概念があまりありませんでした。
そのため欧州ではテレビ電話やEメールが未だに定着していません。
アメリカでもキャリアー同士が激戦を繰り広げましたが、サービスで顧客を囲い込む戦略ではありませんでした。最近やっとvodafoneの大株主のメディアコングロマリットviventiや巨人Nokiaが音楽や動画、ゲームなどのサービスを広く展開し始めましたが、それでもまだ向こうの人は白黒画面の端末で通話とSMSという生活が長かったので、ニーズが伸びていないようです。
日本ではテレビ電話からメール、インターネット、ゲーム、テレビとキャリアーが主体となって遍くサービスを展開したため、どれを選んでも世界トップレベルの高機能端末という不思議なことになったのです。
ではなぜ欧米で3Gの普及が遅れているのでしょうか。それはやはり日本は独特の国だからです。日本では電波は公共資源であり、電話は公共サービスという考え方なので、総務省は事業を確実に提供できる事業者を選びます。だから電信電話公社とか第二電電に帯域が割り当てられたのです。サービスの提供は確実に行われ、消費者が著しい不利益を被るリスクを排除することはできましたが、半面では資金力や信用が事業者選定の基準となり、最初から新規事業者が参入しにくく、ここにきてサービスのイノベーションが阻害され、ユーザーの選択肢も狭まることになりました。基本料金が「高止まり」しているのもそのせいだという指摘さえあります。
それに対して欧米でも電波は公共資源ですが、政府が通信に適した電波帯域を民間で使わせる際にはオークションを行います。昨年の英国、今年3月の米国の帯域オークションにgoogleが参加して世間を騒がせたのは有名です。しかし、オークションで落札した事業者はサービス提供を行う義務を課されることはありません。アイピーモバイルのようにサービスを開始できずに倒産してしまう会社もあります。フェアな競争を促す政策を行っている代わりにサービスの進展にリスクを抱えているが欧米なのです。
繰り返しになりますが、日本の携帯電話は図体は大きくても世界最先端の機能が満載です。いま盛んに言われているのが、その技術を海外で展開することです。シャープが中国に端末を輸出したり、ソフトバンクが海外キャリアと提携したりとここにきてグローバリゼーションが加速しつつあります。
[CNET]シャープ、今春にも中国市場に携帯電話を投入--シャープ人気の背景
http://japan.cnet.com/column/china/story/0,2000055907,20367767,00.htm
同時に三菱が撤退、三洋が京セラと合併のように国内メーカーの淘汰が進んでいくものと思われます。
世界ではiPhoneのUI革命は一巡し、サムスン、LGといった巨大メーカーはタッチパネル端末を投入してきています。iPhone後、日本と世界の溝は埋まるのでしょうか。