秋葉原無差別殺人事件に思う

2週間が経とうとしています。「秋葉原無差別殺人」で検索すると500万件がHITします。事件の社会的インパクトが大きさが明らかになりつつあると思います。今の日本全体の問題点が浮き彫りにされている状況下では私も無関係でいることはできないでしょう。
なので現時点でできるコメントを残そうと思います。
あらゆる側面からメディアに報じられていますが、私が注目しているのは以下の2点です。私がチェックしているブログ「ガ島流ネット社会学」での議論の展開に沿って整理したいと思います。

  • メディアの変化とそのあり方の課題
  • 雇用のあり方の変化とその課題

前者については下記で論じられています。
[NikkeiNet]秋葉原事件で融解した「野次馬」と「報道」の境界
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT11000010062008
直後にテレビなどで報じられたのは事件の異常性や被害だけではありません。秋葉原という人口密度の高い地域で発生したゆえに、多くのサイトから"中継"が行われたことが注目されました。メディアの形が変化し、我々はCGM(CustomerGeneratedMedia))で情報を発信し、CGMから情報を得ています。しかし、受発信している情報には責任が伴わないのでクオリティにバラつきがあります。リスクを負わずにこうしてブログを書き流せるようになったことは20年前との大きな違いでしょう。
私は生まれたときからテレビを"見る"側であって"見せる"側になったことはありません。だから報道の"責任"とか"あり方"が分かりません。皆さんも同じではないでしょうか。"野次馬"の出現は必然であったと言えると思います。これは我々全員が考えて、ルールを作って、守っていく必要があります。でないとネット規正法を押しつけられることになります。

後者について考えます。
事件の再発の防止したいのは誰でも同じ思いです。だからといって「人を殺す」と書き込んだだけで通報したり、歩行者天国を中止するのは手法として不適切です。
[NikkeiNet]ネット上の「犯行予告」を止める一番の近道は
http://it.nikkei.co.jp/internet/news/index.aspx?n=MMIT11000027062008
今後、人を殺す人がブログに書き込みをする確率が高いわけでもなく、歩行者天国が無差別殺人を誘発するなんてありえないからです。事件を思い出したくないというならそれも人情かもしれませんが合理的ではありません。最近、やっと事件の背景として格差があることが注目されてきたようです。
[NikkeiNet]ネットに映し出された現実・希望を失った若者の苦悩
http://it.nikkei.co.jp/internet/column/gatoh.aspx?n=MMIT11000013062008
1999年に派遣労働者法が改正されて日雇派遣や人材派遣がビジネスの現場で活用されるようになりました。企業は繁閑に合わせて人件費を調整できるようになったのです。一方で派遣労働の仕組みは典型的な中間搾取であり、企業のメリットに対して労働者のデメリットが大きいのです。「実感なき景気回復」と言われたのも、派遣を活用する製造、物流、ITの大企業の業績が伸びるのに対して、個人の所得に格差が発生していたからでしょう。
事件の再発を防止したいなら、まず社会的問題が背景にあると捉える必要があるように思います。