エコドライブ論 -見直してみる(2)

7月からガソリンの小売価格がまた上がりました。7月2日の日経新聞では「消費のスタイルが変化」し郊外のショッピングセンターが敬遠され、人々の移動手段が公共交通へシフトしているようです。走らないとなると維持コストも負担になりますよね。カーシェアリング知名度も上がっているようです。

もう1ヶ月くらい前ですが、エコドライブについて改めて考えてみようと思い立ちました。
http://d.hatena.ne.jp/alt-native/20080616
認知度は高まっているのに実践しているという人は案外少なく、その理由に「効果が分かりにくい」「スキル不足」が挙がりました。今日はエコドライブの"スキル"について考えたいと思います。ネット上で箇条書きされているような取り組みは何のスキルも要求しないように見えますが、実は鋭い観察力や高度な判断力が求められるものです。よくある実践項目の一部について分析してみます。

アイドリングストップ
停車時にはエンジンを切るというものですが、これは"費用対効果"を考えなければいけないものです。エンジンを切ったら発車時にエンジンを始動する必要があります。しかし、始動時にセルモーターを回す大量の電気は走行中にエンジンから供給されるものなので、停車時間に比例して効果は高まります。"なるべくするべき"ことですが、こまめに切っていると電気食いです。

「タイヤの空気圧をチェック」
最近CMでも盛んに言われていますよね。タイヤは常に車重の圧力にさらされているので徐々に抜けていきます。結果、タイヤの磨耗や加減速/制動性能が悪化し、クルマのパフォーマンスが低下します。乗り心地も悪くなるはずです。私は以前、近所のおばちゃんがやってるガソリンスタンドで空気圧計と空気を入れる機械を貸してもらってやってました。自動車のドアの継ぎ目や説明書に適正な空気圧が書いてあるのでそれを参考に空気を入れています。ポイントは、空気が抜けることを計算して少し高めに入れることでしょうか。

「荷物を減らす」
これはそのままですね。要するにクルマの中も整理整頓しておけば燃費が向上するというものです。車重が軽ければ「走る・曲がる・止まる」すべてパフォーマンスが高まります。それによってドライブ自体も楽しくなるでしょう。ヒマなとき遊び道具やゴミがたまっている人もいるかもしれませんが、ここは整理整頓の能力を問われます。

「信号の手前でアクセルから足を離す」
これは周囲のクルマの速度との兼ね合いがあるので意外に難しいですが何とかなりますが、エスカレートして「エンジンブレーキを使え」「加速してからニュートラルで走れ」というアドバイスを見たことがあります。エンジンブレーキはギアを下げてエンジンの回転抵抗を利用して減速する技術ですが、タイヤブレーキに負担がかからない代わりに回転数が高くなり燃焼量は増えます。ATのセカンドギアやファーストギアは下り坂や急な上り坂のためにあります。しかも最近の自動車は下り坂で自動でエンジンブレーキをかけてくれます。平坦な道でブレーキに極端な負担がかかる環境にないのにエンジンブレーキを使用するのは適切ではありません。ニュートラルで走行するのは論外です。MTなら純粋にドライブシャフトが空転するだけなので回転数はあがりませんが、ATの場合、プラネタリーギアはピニオンギアが激しく回転している状態になりギアボックスに負担がかかります。CVTでもベルトに負担に負担が集中するのでやめておくべきです。平坦な土地ではブレーキペダル、山道では両方をバランスよく使用するのがベストです。

「ゆっくり発進する」
これは究極のエコドライブテクニックだと私は考えています。自動車をよく知っている必要があるからです。自動車が走るときに一番エネルギーを必要とするのは発進時です。これは慣性の法則が働いているからです。ATにはクリープがあるので5km/hくらいまでは問題はありませんが、そこからが問題です。以前にも紹介しましたが、現代の小型車は1-2000rpm(回転)くらいでいちばん力を発揮するように出来ています。(仕事率というのでしょうか)実家のFITは1600回転弱がベストトルクなので、そのくらいを維持していればいちばん効率よくスピードが上がります。でも私はFITのベスト回転数を調べたわけではなく"体得"しました。自動車は車種によって大きく特性は異なります。その特性を引き出すことでエコドライブが実現すると思っています。皆さんもクルマと親しんでベスト回転数を知りましょう。

ここまで所見を述べてきましたが、エコドライブにはテクニックというより知性が求められるのだなと思います。

まだまだ自分の議論の甘さにため息が出ますが懲りずに改善していきたいです。