国民生活基礎調査やってみた

国民生活基礎調査なるものを提出しました。根掘り葉掘り聞かれて不愉快だったので書き留めておきます。

いちばん困ったこと

5月に配布された封筒に「6月5日午後3時に回収に伺います」の一言が書かれていました。選択肢もないの?予定が入っている人はどうすればいいの?
一方的に決められたので予定を調整することに。マイナス10ポイント。
回収のおばーちゃん。1時間も遅刻してきて一言もないのはご愛嬌。マイナス20ポイント。
「前回の国勢調査を参考に調査票の枚数を配布している」という。連携してるんだ!

こんなのインターネットでやればいいのに

パソコンがないお家もあるから画一的に回収してるんでしょうけど人件費の無駄。
ログイン画面と入力フォームを構築して、毎年ログイン方法を配布すれば済みますよね。目的が変わらなければ質問なんて毎年かわらないわけで、入力フォームのメンテナンスはそんなに要らない。
「インターネットでも入力できます。ただし、住所を入力してください」と記載して誘導すれば、調査員はインターネットで回答済みの住所をとばして回収すればいい。
予定をあわせるより、住所を入力してしまう方が抵抗が少ないのではないでしょうか。好きな時間に協力できるわけで。
インターネットで実施すれば、アンケート用紙を読んでシステムに入力する件費も浮くし、その際の誤入力も防げる。
相当ヒマな人やパソコンのない高齢者世帯は現在の仕組みでいいのかもしれませんが、それ以外の対象者に時間を制約しようとするやり方には疑問を感じます。

「お知らせ」を読んでみる

このたびみなさまがお住まいの地区に「平成22年国民生活基礎調査」をお願いすることになりました

なるほど「〇〇区××〜丁目」とかがまるごと対象になる感じですか。ダーツで決めてるのかな?

国民生活基礎調査」は統計法に基づく、わが国に52しかない基幹統計調査のうちのひとつであり、厚生労働省が毎年実施しています。

52も調査やってんの?Wikipediaで「統計」の項をみると各省庁がいろいろ調査していますが、重複する情報も当然でてくるはず。しかも毎年必要なの?
国勢調査という似たやつもありますが、10年に1度な上に総務省が管轄しているので全く別物。国民からみれば同じもの。マイナス3ポイント
国勢調査も調査員が1世帯に対して3人くらい押しかけてくるので税金の無駄だなと思った記憶があります。

今年は全国で約28万世帯に調査への協力をお願いしています。

選ばれる可能性は長生きしても当たる可能性は1パーセントくらいかな。裁判員なみにレアです。何度も受けたと言う人もいるのでわかりませんが。
政府広報曰く去年は15万人が対象になったそうなので調査対象が増えたようです。
ちゃんと答えるのは年寄りばかりだから、「調査の結果、この国は高齢者がたくさんいる!」って厚労省は勘違いしてますます変な政策を展開することになるのが目に見えています。マイナス1ポイント。

「よくある質問」を読んでみる

Q.調査に協力しなくてもいいですか?
A.国民生活基礎調査は、国勢調査などと同様に「統計法」という法律に基づいて国が実施する基幹統計調査です。
このため、調査対象の方に対しては報告義務、調査員を始めとする調査関係者に対しては、守秘義務が課せられており、これらに反した場合はには、罰金などの罰則が設けられております。

統計法を見てみると確かに

十三条-2 前項の規定により報告を求められた者は、これを拒み、又は虚偽の報告をしてはならない。

第六十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一  第十三条の規定に違反して、基幹統計調査の報告を拒み、又は虚偽の報告をした者

きっとバックレる人も多いだろうし、行政罰だからいわゆる「前科」にはならないよね?なんて姑息なことも考えましたが、罰金は嫌なので協力することに。

意義

徳島県の説明をみると

国民生活基礎調査は,厚生労働省が昭和61年から毎年,全国で実施している調査で,世帯の構成,国民の保健,医療,福祉,年金,就業,所得などの国民生活の基礎的な事項を調査し,今後の厚生労働行政の企画,立案,運営のための基礎資料を得るために実施しているものです。

よりよい政策を実行するために「敵を知ること」は大事です。でもこれって自治体に問い合せれば得られる情報。自治体はそれで食べているのだから。お役所というのは「お客様情報」を共有する意識がないのでしょうか。
もっと詳細な情報が必要ならその特質を明記すべきで「基礎」的なことを役所に何度も報告するのは面倒。マイナス5ポイント。
内閣府の資料(PDF)によれば、公的統計の整備を統計法で謳っているそうです

行政機関が保有する各種の情報を統計の作成に活用する仕組みを整備することにより、統計作成の正確性や効率性を向上させるとともに、統計調査における被調査者の負担を軽減

これが守られていないから52も基幹統計調査があるんだろうな。

中身

回答票は「世帯票」「健康票」「介護票」にわかれています。うちは配布時に不在だったので介護票はありませんでした。
聞かれたことを超要約&抽出して箇条書きにすると以下

  • 世帯構成は?
  • 家は賃貸か持ち家か?間取りは?
  • 5月の家計支出総額は?
  • 先月、育児にかかった費用は?
  • 医療保険の加入状況は?
  • どのような年金に加入している?
  • 小さな子どもは幼稚園に預けてる?祖母に預けてる?
  • 子どもが通っている学校は大学?専門学校?
  • 働いている人の職種、業種は?会社規模は?
  • 働いていない人はどんな事情?
  • 病院に通ってる?どんな病気?
  • あなたは鬱ですか? ※

※「神経過敏に感じますか?」「何をするにも面倒くさいと感じますか?」という質問などが羅列されているのでこう解釈しました。この項に当てはまる人はこの質問まで辿り着かないから意味ないなと思いました。

「7月にも行われます」

皆様の中から、さらに無作為に選んだ一部の世帯には、所得票と貯蓄票の記入もお願いするため、7月にお伺いするこちになりますので..(以下略)

!!! 絶対あたりたくない。でもH15年も全体の2割が対象になっているのであたるかも。

個人情報の扱い

企業の調査などでは当たり前ですが、いわゆる「個人情報の取り扱いについて」の記載がまったくなかった。文字を減らしたかったのかもしれませんが、必要なことは記載してほしい。
統計法で売ったり買ったりした人にペナルティが課されることは明記されていますし、上掲の資料(PDF)によれば

公的統計の作成に用いられた調査票情報等について、適正管理義務や守秘義務、目的外利用の禁止などの規定を整備するとともに、これらの規定を統計調査事務の受託者に対しても同様に適用

とあります。でも不安。

まとめ

真面目に答えると1〜2時間は潰れるのでそれが毎年10〜20万人分と思うと、とてつもない労力を差し出していることになります。
そしてそれを回収して集計する工数も相当な額になるはず。「国民生活基礎調査 予算」で検索したらちょっと古い資料がひっかかりました。
5万世帯を調査したH15年7億円を投じたそうです。
今年はその4倍を対象にしているので、さらに予算は増えているはず。その調査内容を考えると、本当にその価値があるのか疑問が残ります。
でもこの結果が政策に反映されるので、若い世帯の調査結果が必要に思えたので協力してみました。
統計法という法律はさっさと改正して、国民に関するDBはすべて統合することが必要。さらに調査が必要な場合は、そのやり方もより周到に行うべき。
調査結果をもとに政策を実行するのだとしても、その調査自体は何の価値も生み出さない。
調査員や厚労省職員は給与がでるからいいけど、協力する方は何ももらっていないことに注意するべき。協力しないと行政罰だなんてNHKじゃあるまいし。