「セーフティネット・クライシス」を見ました。

またNHKスペシャルを見てしまいました。
日本の社会保障制度の問題をピックアップする内容ですが、
あまりに酷い現状を見せつけられて凹みました。
ゲストには経済同友会社会保障審議会(だったかな?)の人とかも来てました。
明らかに経営者、政府側の人間ですが現状・問題点は認めざるをえないようですが、
その解決策には詰まっていました。

概要をまとめると以下のとおりです。
(※印は私のコメントです)
[健康保険制度]
 [変化]
  正規雇用労働者の減少/非正規労働者の増加。
  →つまりリストラされたり就職できなかくて派遣/アルバイトになった人が多くなった。
  →国保料を自分が直接支払う必要。
  →非正規雇用労働者の収入が低い。
 [以前]
  正社員は健康保険料の支払いの半分と傷病手当を企業が負担していた。
  →月々払う保険料は少ないし、入院してもお金が会社から出ていた。
  →充実したセーフティネットだった。
 [結果1]
  国民健康保険料が上昇
  →非正規雇用労働者の増加で国保の被保険者全体が増加したが、収入が減ったので滞納が増えた。
   政府は支出を補うために保険料を値上げ。
  →非正規雇用労働者は全額自腹なので正規雇用者に比して保険料負担が大きい。
  →つまり派遣/アルバイトは収入↓ 保険料↑
    →一年間滞納すると保険対象から外される。
     (※病気の人は即ち死ぬ、というのはホームレス同然ですね。)
 [結果2]
  保険料を滞納する企業も
  →保険料の上昇によって中小企業は経営を圧迫されている。
  (※中小企業が集中する大阪が例に取り上げられていましたが、他の地域も同様でしょうか。)
  
 [ゲストコメント]
  ・「正規雇用労働者/非正規雇用労働者の身分制」が出現しつつあるのではないか。
   (※"ブルジョワ/プロ"、"ホワイト/ブルー"、言葉が変わっただけですね。)
  ・非正規雇用化が価値を生み出さないことが露見しつつある。
  ・非正規雇用化が行き過ぎであることは明らかである。
  ・非正規雇用労働者にも企業のセーフティネットを拡大するのも手段ではないか。
   (※やろうにも中小企業には厳しいみたいですけどね。いつかWBSで言ってた気がする。)
  ・非正規雇用労働者と正規雇用労働者が同等の社会保障を受けられるのが最低限の理想ではないか。

[介護保険]
 [変化]
  社会保障費の上昇を抑えるため政府が「自立支援」に乗り出す。
  →要介護認定区分が変更されサービスが低下。
 [以前]
  かつては親・子・孫の3世代同居が家族の標準的な形だった。
  →核家族化 →親世代(=高齢者)の夫婦、一人暮らしが増加。
  家族への負担を軽減するため、2000年に介護保険制度がスタート。
  →ヘルパーの派遣によって高齢者/障害者が身体活動をするためリハビリ効果も期待できる。
 [結果]
  「自立」が妨げられている。
  →フォローする家族がいないため、利用者は低下したサービスの分を自腹で負担
  (※ヘルパーが来ないので身体活動がなくなり寝たきりになる懸念もあるのでは?)
 [ゲストコメント]
  ・家族が介護を行っても労働人口が低下する。
  ・そもそも社会保障費の削減政策が行き過ぎていた。
   社会保障の最低限のラインを決めておかなかったことに問題があるのではないか。
   (※立法府に責任?行政府に責任?)
  ・最終的には国家がフォローしていかないと解決できない問題。
   (※家族の皆さんに「一緒に暮らせ!」って言うわけにもいかないもんね。)

[生活保護]
 [変化]
  離婚の増加によって、一人親世帯(つまり母子家庭)が増えてきた。
  (※子育てをする母親は収入が低くて当然。父親なんて呑気なもんです。)
 [以前]
  生活保護法で生活費の支給を定める。
  →家族構成から必要生活費を算出して収入との差額を支給。
 [結果]
  2003年から厚生労働省は支給を削減を「適正化」政策決定。
  →収入能力を審査して支給打ち切りを推進。
  →生活保護の利用に障害
  
  自治体が利用者に「自立計画書」を提出させ「治療」「復職」を約束させる事例が紹介されていました。
  (※びっくりしたのは自治体が仕事を見つけるよう催促したり、
   高校生の子どもにアルバイトをさせることを、「計画書」に載せたことです。
   自治体が学生のアルバイトを「社会勉強」ではなく「労働」と認めるんですね。)

 [分析]
  母子家庭世帯の子どもは本人の努力では解決できない「構造的に不利」な状況に置かれている。
→学習塾や不登校との相関が明らかになっている。
  →経済的な理由から夢を諦める子どもがいる。
  →「生活保護の生徒」が学校で差別を受けている。→学校からドロップアウト

 [ゲストコメント]
  ・現在の状況の問題点は日本全体で共有されつつある。
  ・日本の制度は支援できるように設計されていたはずだった。
   →社会の変化によって社会保障の有効性がなくなってきた。
   →離婚することが前提にされていない。
  ・「小さな政府・大きな政府」と「国家の成長率」は相関しないのではないか。
(※「民営化ブーム」で小さな政府論がもてはやされたけど、って話かな。)
  ・日本も状況に合わせて社会政策支出のバランスを再設計するべき。

うーんやはり長くなってしまった。
私が言葉で語っても薄っぺらいだけなので、一番目を当てたくない現実は省きました。

これらの問題が肥大化して日本が価値を生み出せない国になることが予見されています。
誰も新たなビジョンを描けていません。皆が答えを探すべき問題のようです。